命をけずり卵を守る北のお魚 ホテイウオ成魚(1月~3月)


▢ 佐渡 ホテイウオ

ホテイウオの名前の由来は、七福神の布袋(ほてい)様に似ているところから来ているそうです。ちなみに佐渡の方言でゴウダラと呼ばれています。漁師さんにホテイウオといってもわからない様子でした(^^)体長は30cmくらいで、表情がかわいらしく、ぽっちゃりとした体つきは『ぶさかわ』を代表する北方系のお魚です。

ホテイウオは、水深100m~200mに生息していますが、冬になると産卵のため浅瀬に移動してきます。よく見るとオスとメスも判別できます。オスは黒っぽい色合いでお腹がシャープです。一方メスのホテイウオはまだら模様で、産卵前はお腹がパンパンです。そしてなにより、顔が優しい感じになってます(笑)。さすがお母ちゃんですね!


写真1.オス(黒っぽい色合いで、お腹がシャープ)

写真2.メス(マダラ模様で、産卵前はお腹がパンパン)



▢ ホテイウオの産卵行動

オスは産卵場として安全な場所を見つけると、そこでメスが来るのを待機しています。産卵場になるところは岩の切れ目やクボミといった狭い空間です。水深も5m以深の浅場を選びます。きっと外敵から狙われにくい場所として浅場が適しているからだと思います。メスはオスと出会うと産卵場に卵を産みます。狭い空間で卵を産むため体はズタボロになり、やがて力尽きて死んでしまいます。オスは卵が孵化するまでの約一か月間、卵から離れることなく守り続けます。

この間、ヒトデやその他の外敵から体がボロボロになっても卵を守り続けるのです。人間が手を出したとしても逃げだすことはありません。世界中探してもこのようなお魚は他にいないのでないでしょうか。やがて卵が孵化するとオスも力尽きて死んでしまいます。 そのユーモア溢れる外見からゲストに人気という “ ホテイウオ ” 。こういった背景を知ると、ますます魅力的に見えてきます。そんな彼らを観察しに、海へ出かけられてはいかがでしょうか。


写真3.産卵を終え、傷だらけになったメスの様子

写真4.卵を守るオスの様子



▢ ホテイウオの幼魚

3月頃になると、孵化した幼魚の姿を見ることができます。オタマジャクシのような姿で、大きさは3㎜程度です。なんと一匹ごとに体の模様が異なり、その姿はカメラの被写体として非常に面白いです。

今年は、昨年よりも産卵するホテイウオの数が多いので、3月にはたくさんの幼魚が姿を見せてくれるのではないかと期待が膨らみます!!


写真5.幼魚(1)

写真6.幼魚(2)

写真7.幼魚(3)



▢ ホテイウオのおまけ動画